【コラム】 断熱性能とエアコン能力の関係性
いつもブログをお読みいただき有難うございます。
あんじゅホームの菅原です。
30坪の家が14帖用エアコン1台でまかなえる根拠は何でしょうか?
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これまでのブログで
・エアコンは「つけっぱなし」がよいのか「こまめに切る」のがよいのか
・エアコンの対応畳数表示とは
・断熱等性能等級(UA値)のお話し
をしてきました。
今日は断熱性能とエアコンの能力を理論的に推察します。
最後までお付き合いくださいね
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まず、断熱等性能等級から復習です。
等級は1~7まであり、等級が高いほど断熱性に優れます。
断熱等級を決定する要素のひとつに「UA値」があります。
UA値は低いほど断熱性能が良いということになり、「建物の熱損失量の合計÷外皮面積」という計算式で求められ
UA値は外皮面積(外壁+屋根+基礎の表面積)1㎡当たりで平均して何W(ワット)の熱が逃げるかを表しています。
外皮面積にUA値を掛けると、室内温度を1℃上げる(または下げる)ための単位熱量が出ます。
さらに温度差を掛けると必要な総熱量が出ます。
1時間に逃げていく熱損失をエアコンで補うことができれば、室内を一定に保てるということになります。
文章では難しいので計算式にしてみます。
これまでのブログでご紹介したお家(30坪、2LDK、リビングで14帖用のエアコン使用)のUA値は0.49(W/㎡・K)、外皮面積337.07㎡です。
1時間当たりの熱損失量は 0.49×337.07=165.16(W/K)
つまり、1時間で1℃キープするのに165.16Wです。
冬場の外気温度が7℃、室内の設定温度を18℃で設定すると、温度差11℃なので
165.16W×11=1816W=1.8kW
外気温7℃の時、室内温度18℃を1時間キープするのに1.8kW必要です。
同様に、外気温0℃、室内の設定温度18℃で2.9kWです。
14帖用エアコンの暖房時最大消費電力は3.73kWなので、強運転をしなくても家じゅうが1台のエアコンで暖まる。
ということになります。
ちなみに、断熱等性能等級2のUA値は1.67(W/㎡・K)です。
1時間当たりの熱損失量は562(W/K)
温度差11℃で6.2kW、温度差18℃で10.1kWとなります。
14帖用エアコン1台では全然足りないですね。
このように1970年代の断熱材がほとんど入っていない家と比較すると、実に4倍近くも必要な熱量が変わってきます。
エアコンの対応畳数表示は1964年に制定されたもので、当時の住宅と言えば「無断熱住宅」です。
畳数だけで選んでしまうといかにオーバースペックかが分かって頂けたでしょうか。
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実際には、換気や漏気による熱損失や断熱による保温効果もあるのでこのような単純計算では済みませんが、ざっくりと断熱性能とエアコン能力の関係性を計算してみました。
このように断熱性と気密性に優れた家では、月々の電気代を抑えるだけでなく、そもそものエアコン購入費まで抑えることが可能です。