【コラム】 建築工事費上昇はまだ続く
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あんじゅホームの菅原です。
『日経アーキテクチュア』によると2024年問題が拍車となり、建築工事費上昇はまだ続くとの見解です。
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国土交通省の建築着工統計によると東京地域における鉄骨造事務所の建築工事費は直近2年間で49%上昇したそうです。
過去に建築工事費が上昇したのは 1985年~1992年のいわゆるバブル期に民間大型建設投資が相次ぎ建築需要が増加。
深刻な人手不足と労務費高騰を招き建築工事費が上昇しました。
2011年~2016年は東日本大震災の復興需要や2014年の消費増税に伴う駆け込み需要で供給が追い付かず上昇しました。
こうしてみると、いずれも建築需要の拡大によって人手不足に陥り労務費の上昇と共に建築費の大幅な値上がりが生じました。
引用元 日経アーキテクチュア
一方、この度の上昇原因は建築需要の急増ではありません。
2022年は前年比2.3%減、2023年は前年比6.9%減と直近2年間では建築需要が減少しています。
ではなぜ建築工事費が上昇を続けているのでしょうか?
2022年の資材高騰に隠れる形で静かに進行してきた人手不足が2023年の経済回復に伴って再び表面化し、資材価格の高止まりと労務費の上昇が重なったことが原因と考えられます。
過去30年では建築着工床面積は1990年をピークに、建設業就業者数は1997年をピークにそれぞれ減少し、需要と供給力がほぼ一貫して減少しています。
加えて、労働時間短縮の動きもあるなか、建設業就業者の1人あたりがこなせる床面積がこの30年間でほぼ半減していて、供給力は着実に細っています。
現在のような大型再開発や大規模工場などによって建築需要が急増するとたちまち人手不足が再燃する構造となってしまいました。
2024年4月以降、建設業に対して時間外労働時間の上限規制が課されます。
仮に生産性を高めることなく労働時間を制限すると、約17%もの労働力を増強しないと同じ工期で工事を終わらせることができないと言います。
少子高齢化、技能者の不足、そして2024年問題によって人手不足が加速し、結果的に賃金の上昇そして建築工事費上昇という流れはしばらく止まりそうにありません。