あんじゅホーム社長ブログ

週刊新潮記事解説

週刊新潮の2024年の新年号に家についての記事が掲載されました。
『「家の寒さ」が命を縮める』というインパクトのある見出しでした。

記事は、近畿大学建築学部教授の岩前教授によるものです。
住宅建築業界では、かなり有名な方です。
今回は、その記事の内容を記事に書かれていない内容を加えて、分かりやすくご紹介していきたい思います。

「家のつくりようは、夏を旨とすべし」と、兼好法師が徒然草の一文が有名です。
最も古い1910年の国勢調査のデータを見ると夏の8月に最も人が無くなっています。
ところが、1930年くらいから夏と冬とが逆転が起こり始め、70年代には夏が最も少なく、冬が最も多い現在の状況になっています。
では、なぜ逆転現象が起きたのでしょうか?
夏の死亡原因の多くは、食中毒でした。
まだまだ冷蔵庫が普及していなかった時代は、暑さによる食中毒が多かったのではないか?と記されています。
そこで、冷蔵庫の普及率を調べてみました。
1960年代はじめは10%ほどなのが60年代半ばには50%、70年代半ばには、ほぼ100%になり、どこのお家にも冷蔵庫がある時代になったみたいです。
たしかに、夏の死亡者の激減と冷蔵庫の普及率には大きく関連性がありそうです。

最近では、夏の暑さのニュースが増え、熱中症のリスクが注目されていますが、熱中症で病院に運ばれた人の9割はその日のうちに帰宅しているそうで、 「命」にかかわる重大なリスクにはなっていないみたいです。
夏の死亡リスクが減って、冬のリスクが目立ってきたことになります。
冬のリスクで、よく言われるのは、暖かいリビングから寒い脱衣室で服を脱ぎ、また熱いお風呂に入ることでの「ヒートショック」が原因と言われますが、岩前教授は違うと言います。

その原因は、「低温」だと言います。
2015年に英国に医学系学術誌で発表された調査結果では、日本人の死亡者の約10%、およそ12万人が「低温」の影響で亡くなったとしているそうです。
一方、夏の「高温」による死亡者は、全体の0.3%で、約30倍低温の方が死亡リスクが高いことになります。
では、「低温」ではない状態とは、いったい何℃の状況でしょうか?
世界保健機構(WHO)が、強く推奨する室内温度は18度以上です。
しかし、ある研究では、それを満たしているのは日本の住宅のたった1割。
ちなみに兵庫県は、在宅中今平均温度は16.5度で、下から数えた方が早いです。

スマートウェルネス住宅等推進調査委員会 調査解析小委員会(委員長:伊香賀)第5回報告会(2021.1.26)を編集

脱低温住宅にするためには、断熱等性能等級6が必要となります。
断熱等性能等級6になると、脱衣室などの非居室もおおよそ18度以上になるというデータがあり、高気密高断熱住宅に住んだ人のアンケートも同じ結果が出ています。
断熱性のすぐれた家に暮らすことで健康が改善されるのか。
実際に岩前教授が約2万4千人を対象に調査を行ったところ、15もの症状が明らかに改善しました。
手足の冷え、咳やのどの痛みだけでなく、肌のかゆみやアトピー性皮膚炎、花粉症まで症状が改善されました。
冬の低温から身を守ることが健康寿命に大きく寄与します。
アメリカのニューヨークシティでは、低温期には建物の所有者は、日中は20度、夜間は16.6度以上に保たなけれがならないと行政が定めているぐらいですが、日本にはそのような基準は全くありません。
そもそも現在、建築基準法に断熱の基準すらありません。(2025年にようやく建築基準法に断熱基準ができます。)

岩前教授は、最終的、新築であれば高気密高断熱することを推奨しています。
イニシャルコストは増えますが、ランニングコストを抑えることができ、健康で長生きになるため医療費も押さえることができるとします。
それは、リフォームでも可能です。
例えば、2階建ての1階だけするなど、コストを押さえながら低温住宅からの脱却は可能です。
低温は、命に係わるほど「健康」の問題です。
日本の医学は、治療が9割以上で予防医学は1割未満。
海外では、それが大体半々だそうです。
住宅の高断熱化は、予防医学。断熱化することは、「高い」「安い」という問題ではなく当たり前のことなのではないかと、教授は主張します。

いかがでしたでしょうか?
耐震性能も重要ですが、断熱性能も同じぐらい重要な住宅の要素です。
日本の住宅の断熱性能の向上は、これからの課題です。
あんじゅホームでは、健康で長生きできる安心住宅をつくっています。
また、リフォームでも性能を高めて、安心して住める住宅にすることは可能です。
寒い家で我慢するのではなく、ぜひ快適な住まいで健康で安心して住める住宅にすることを検討してみてください。