あんじゅホームスタッフブログ

【建築豆知識15】 道路斜線制限

菅原 悌

いつもブログをお読みいただき有難うございます。
あんじゅホームの菅原です。
家づくりに関する基本的なお話を、建築士の実務目線からお届けしています。
15回目の今日は「道路斜線制限」です。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

家を建てる時には建築基準法を守る必要があります。
以前のブログでご紹介した建ぺい率・容積率は建物の面積を規定するものでした。
面積とは別に建物の大きさを決定する要素で高さ方向があります。
建築可能な高さについても基準法で細かく規定されており
「道路斜線・北側斜線・隣地斜線」と分類されます。

「道路斜線」とは道路の採光や通風が確保されるように道路に面して一定の高さを規定するものです。
道路の幅に対して地域に応じて1.25倍もしくは1.5倍の割合で高さを制限しており
この制限を超えて建物を建ててはいけない。という事です。

 

道路との境界から建物を離した距離を後退距離と言います。
この後退距離を取れば道路の幅が広がったとみなされ高さの制限は緩和されます。
道路斜線の詳しい内容はSUUMO様が解説されています。
興味のある方はこちらをご覧になってください。

 引用元 不動産・住宅サイトSUUMO様

 

ではプランを作る時には道路斜線に対してどのように考えているのでしょうか?
まずは建築予定地の建ぺい率・容積率から平面的なボリュームを算出します。
こちらは以前にご紹介しているのでこちらからご覧になってください

 過去ブログ 【建築豆知識①】 建ぺい率と容積率

次に道路斜線の計算です。
2階建ての場合は屋根の高さは地上約6メートル、3階建てで地上約9メートルです。
※天井高さなどにより変わってくるのであくまでも概算です。
前面道路の幅が4メートルの時、道路境界線上では4×1.25=5メートルが高さの制限となり
それ以上の部分は削られてしまい建てられないということになります。

ただし後退距離があればその分緩和を受けることができます。
仮に40センチ道路境界から建物を離した場合は後退距離を考慮して
(0.4+4.0+0.4)=4.8メートル道路の幅があると見なされ
4.8×1.25=6で2階部分を削らずに建てられるということになります。

同様に3階建ての場合は、道路から1.7メートルくらいは空けないと建てられないということになります。
※計算式としては、(1.7+4+1.7)×1.25=9.25メートル

最終的には建築のCAD図面で斜線制限に干渉していないかを確認しますが
ラフプランで建物のボリューム検討する時はこのようにざっくりと計算します。
せっかく建ぺい率・容積率から建物のボリュームを計算しても
この道路斜線により道路に面した部分の床が削られてしまうこともあるのです。
道路斜線の他にも斜線制限があり、それらを全て考慮して建物の大きさが決まります。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

街中を歩いていると鉛筆のように上層階へ行くほど尖った建物を見かけることがあります。
色々な高さ制限を受けて決められたということでしょう。
そういう視点で建物を見ると新たな発見ができて楽しいかも知れませんね。